2024.05.14

池の水調査員報告

池の水ぜんぶ抜いてみたら…!?開催レポート

令和6年5月11日(土)に、『池の水ぜんぶ抜いてみたら…!?』を開催しました。池の水調査員と、日頃から公園の緑地管理をしてくださっている静岡市造園緑化協会の皆さんと一緒に活動を行いました。

今回は、「池の中にいる生き物を調査せよ」「ごみ拾いで池を美しくせよ」という2つのミッションを担ってもらいました。調査員一同が胴長を着ていざ水の中へ!ドロドロになりながらも一生懸命調査に取り組みます。

池からあがった後は生き物観察タイムです。見つけたものを、「在来生物」「外来生物」「条件付き特定外来生物」「特定外来生物」の4つに分けて、水生生物に詳しい方のお話しを聞きながら、生き物について学びました。

生き物をたくさん観察して、生き物に愛着がわいた子供達。子供たちの口から「この生き物たちこの後どうするの?」という声があがりました。あさはた緑地では、在来生物と外来生物は別の池に返し、条件付き特定外来生物と特定外来生物は堆肥へ変えて、体験農園で作物を育てる肥料として使用しています。このイベントが、「命の循環」や「生物多様性」を少しでも考えるきっかけになったら嬉しいです。

もう一つのMISSIONだったゴミ拾いでは、ビニールをはじめ、履物、おもちゃなどがありました。きれいになったため池に、より多くの生きものたちが集まってきてくれたらいいなと思います。

あさはた緑地は日頃から生き物と自由にふれあえる公園です。生き物ルールを守って楽しくふれあってください。

大人の皆さんへ(採集した生物について)

今回開催した「池の水ぜんぶ抜いてみたら…⁉」の目的は、公園の施設・環境整備及び生態系調査の一環で、いわゆる「かいぼり」と呼ばれる作業です。水の滞留や、ごみの投棄、そして侵略性のある生物の繁殖などによって、環境の悪化、多様性が失われることを防ぐ目的で行い、そこに参加してもらうことで、生態系や環境保全などについて考えていただく機会を提供しようというものです。

イベントで採集した生き物の扱いにつきましては、原則生き物は元に戻しますが、特定外来生物並びに条件付き特定外来生物に指定されている生き物につきましては、環境省のガイドラインに基づき、当施設に設置されております冷凍設備にて処分いたしました。なお、凍結後は堆肥場に混ぜて肥料として園内で循環させています。(日常的に来園者が釣っているアメリカザリガニも条件付き特定外来生物ですので、同様の対応をとっております。)

該当する生物は他の生物種を駆逐する恐れから特定外来生物に指定されており、その放置は他の種をその地域から絶滅させる恐れがあります。各個体にとっては命を奪う形になることは事実ですが、地域の生物多様性を維持するために避けられないことと考えております。

ただ、これが最善手かどうかは私たちも自問し続けるところであり、処分ではなく、域内の水深や水流などによる環境の変化により、繁殖を抑える手立てなども検討しておりますが、現状有効な方法は見つかっておりません。多様性を守るために在来種と外来種が分けられ、環境省によって危険度をランク分けして指定されており、生き物の種によって守るべき優先順位が付けられていることは事実であり、公共の公園としてその法律に基づいて生物全般に対応しておりますので、そのことも含め参加される子どもたちへお伝えするイベントプログラムとなっております。

私たちの公園運営においても危険な蜂の巣は駆除しておりますし、景観を害する植物は抜根して排除しております。常に命の選別をしながら公園として求められる機能を維持しております。ただし、その基準は決して人気のあるなしではありません。イベント内の説明では外来種が広がった原因をはじめ、一つ一つの命について考えると同時に、多様な生物が共生するために私たちが考えるべきことについてお伝えいたいました。